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「波菜……」
奏の声にさっきまでのからかいの調子はみじんもない。
そこにあるのは昔っからよく知っている、親友を心配する時の戸惑いの声音だった。
「…………」
「波菜、まさかと思うけど、まだ気にしてるの? あんな子供の頃の――」
「帰る途中、洋くんに会った」
「えっ?」
「このへんに洋くんちも、別荘持ってるらしいよ。小学生以前はここに住んでもいたらしい」
「ああ……そういえばそんなことをママから……。って違うよ、波菜。宇城と洋介は違う」
「違わなく、ないじゃない」
奏はわたしにかける言葉を探しているようだった。
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