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奏と洋くんとわたしの関係は、難しい。
奏とわたしは、ものごころつく以前から友だちだった。
近所で、奏の親とうちの親の仲がよくて、いわゆる公園友だちみたいな感じだったのだ。
幼稚園に入る前、親が子供を公園に連れて行って遊ばせる。
それをきっかけに親同士も仲良くなる。
奏とわたしは二、三歳くらいからの友だちなのだ。
家の行き来も多かった。
小学校一年の時に洋くんの家、篤嶋家が、わたしたちの家の近所に越してきた。
今ではその片鱗もないけど、洋くんはその頃、ガキ大将の男の子にすぐ泣かされてしまうような、あんまり強くない子だった。
ここに越してきた頃の洋くんは、飼っていた犬のマリモだけが友だちだったのだ。
活発で運動神経もよく、正義感の強い奏は、洋くんを守るようになった。
越してきたばかりで頼れる友だちもいなかった洋くんのお母さんにも、子供つながりで奏の親やうちの親が声をかけた。
実際大人三人も相性がよかったんだろう。
すぐに意気投合して休日には三家族でバーベキューをやる仲になった。
奏、洋くん、わたし。
親も含めた家ぐるみのつき合いの始まり。
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