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「確かにからかいがいはあるよね。波菜は今時めずらしい絵に描いたような純情少女だもん。すぐ赤くなるからさ」
うっ!
人の一番気にしていることを!
だいぶよくなったんだよ、これでも。
奏も奏で、わたしがそれを他人、とくに男子から指摘されると鬼の形相で怒るのに、自分では言うんだから。
わたしは奏から乱暴に携帯を奪い返し、もう取られないように胸元に抱え込んだ。
二人から顔をそらしてぷいっと横を向く。
窓から吹き込む七月の風が、レースのカーテンを揺らしていく。
今日は早くに終わることがわかっていたバスケ部と違い、宇城くんの所属するサッカー部員たちは、まだ校庭の砂ぼこりの中を走りまわっている。
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