第1章 残念王子に奇跡の再会

22/40

401人が本棚に入れています
本棚に追加
/259ページ
◇◇◇◇◇ あれはどこかの大学のキャンパスを借りてやった、夏休み明けの模試だった。 長い机の端と端、真ん中の席をひとつおいて受験番号順に座るよう指示が出ていた。 遅刻ぎりぎりに、わたしの隣の席に、ちょっと目をひくくらいかっこいい男の子が座ったのだ。 もう隣こないのかな、となんとなくそっちをぼんやり眺めていた時に、そこに、ドザッとスクールバッグが置かれた。 ふてくされたような面持で、その子はスクールバッグから筆記用具を無造作に出して机に置く。 整った顔立ちのせいで、怒ったような無表情がよけいに迫力があった。 苦手なタイプ、ととっさに感じたのを覚えている。
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!

401人が本棚に入れています
本棚に追加