第1章 残念王子に奇跡の再会

24/40

401人が本棚に入れています
本棚に追加
/259ページ
どこにそんな勇気があったのか、今となってはまるでわからない。 なにかに導かれるように、声を出さずに唇だけが動いた。 〝いくよ〟  男の子が大きく目を見開く中、あたしは消しゴムの上に置いた指を動かした。 消しゴムが長机の上を滑っていく。 その子はかなり軌道を外したそれを器用に受け止める。 その格好のまま、まだびっくり眼(まなこ)でわたしを凝視していた。  わたしは問題用紙に視線を戻し、長文の続きにとりかかった。
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!

401人が本棚に入れています
本棚に追加