第1章 残念王子に奇跡の再会

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その後、二教科の試験を受け、わたしたちは事務室に呼ばれた。 私立模試で三教科しかなかったことがありがたかった。 気まずい時間を長く過ごさなくてすんだ。  呼ばれた事務室でいろいろと聞かれたけれど、わたしたち二人に以前からの接点はない。 消しゴムにも細工がなく、三教科の解答にも不審な点がみつからなかったことから、その場で無罪放免になった。 次からは紛らわしい行動をとらないこと、試験にくるのに消しゴムを忘れるなんて言語道断だと、その男子は厳重注意を受けていた。 紛らわしい行動をとったのはわたしだ。  でもその男子は終始無言で素直にうなずいていた。  わたしは奏と一緒に模試に来ていたけれど、たまたま奏はその後に用事があり、待っててあげられなくてごめんね、と会場を後にしていた。
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