第1章 残念王子に奇跡の再会

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「あの……ごめんなさい。わたしすごく余計なことしたみたいで……」  事務室の前の廊下でわたしは男の子に頭を下げた。 「いんや、こっちこそごめんな。俺が消しゴム忘れたりしたから、君を巻き込んじゃって。てかすごいよね」 「え?」 「あの状況で困ってる人に消しゴム貸そうとするなんて。めっちゃ勇気あるなと、俺感動したわ」 「えっ?」  わたしは目をみはった。  勇気?  感動?  わたしが人にそんなものを与えたりできるの?  でもそうだ。わたしの今日の行動に一番驚いているのは、まぎれもない自分自身。 わたしのどこにこんな勇気が眠っていたのかと仰天している。わたしって、もしかしてやればできる子?
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