第1章 残念王子に奇跡の再会

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でも今日、わたしは困っているこの男子を助けようとした。 男子だったのに!  なぜか! その結果、この男子から勇気があるとか感動した、なんて言われたことで、自分をまるごと肯定してもらえたような錯覚におちいっている。 男子を、今までとは違う生きものだと認識した瞬間だったのかもしれない。 歩く廊下の色さえ違って見えた。 中学の廊下よりも大学のそれは白っぽくて明るいけど、そこじゃないんだ。 もしかして男子苦手症候群を、わたしはちょっとだけ克服した? 人の引けた空間を二人、並んで歩いた。 名前も知らないこの子は気崩した学ランに甘さを残すシャープな横顔が絵になる。 日に焼けすぎていることに目をつぶれば、タレント事務所の筆頭若手俳優だと言われても納得しちゃうレベルだ。
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