第1章 残念王子に奇跡の再会

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「日向坂高校。えっ? あ……」  わたしは、その子に自分の志望校をすんなり答えていた。 聞き方が直球すぎるし、普通は初対面の女子にそんなことは聞かないでしょ。 思考が過去に飛んでいたところにありえない質問がきて、ほぼ反射で答えてしまっていた。 「あー、日向の坂にあるあの高校ね。そこは俺も考えて――」 「朔哉さんっ!」 「え? あれ? なんで葛西さん、こんなとこまで入ってきてんだ?」  血相を変えて廊下を小走りでこっちに向かってくる人がいた。 シャープな黒のパンツスーツに身を包んだ三十代くらいの女の人。
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