401人が本棚に入れています
本棚に追加
/259ページ
「日向坂高校。えっ? あ……」
わたしは、その子に自分の志望校をすんなり答えていた。
聞き方が直球すぎるし、普通は初対面の女子にそんなことは聞かないでしょ。
思考が過去に飛んでいたところにありえない質問がきて、ほぼ反射で答えてしまっていた。
「あー、日向の坂にあるあの高校ね。そこは俺も考えて――」
「朔哉さんっ!」
「え? あれ? なんで葛西さん、こんなとこまで入ってきてんだ?」
血相を変えて廊下を小走りでこっちに向かってくる人がいた。
シャープな黒のパンツスーツに身を包んだ三十代くらいの女の人。
最初のコメントを投稿しよう!