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「ちょっと葛西さん、もう帰るよっ。そんじゃーね。お互いがんばろうね」
その男の子はそう遮ると、葛西さんと呼んだ女性を出口のほうに無理やり押し出しながら、わたしに手を振った。
どんな関係の人?
葛西さん、なんて他人行儀な呼び方。
お母さんじゃないのはわかる。
雰囲気としてお手伝いさん? って感じじゃないな。
慌ただしく去って行く二人の後ろ姿を見送りながら、思考はさっき、志望校を口にしたことに戻っていった。
もう会うこともないからこそ、簡単に志望校を答えられたんだ。
そういう意識がきっと、自分の中で働いたんだ。
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