◇◇◇◇◇2・シンデレラのドレスは72時間◇◇◇◇◇

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「ねっ! 波菜、行こうよ」  学校の廊下で奏がわたしの片腕に抱きついてぶんぶんと振り回す。 「そうだよー、こんなとこに泊まれるチャンス、二度とないかもー」  凛子がパンフレットと見まがう立派な冊子を開いて、中の写真にうっとりと見惚れている。 個人所有の別荘の案内冊子とは誰も思わないだろう。 宇城家の持つ豪華絢爛な別荘だ。 業者でもないのに案内冊子があることにびっくり!  きっと親の会社関係の接待に使ったりするからなんだろうな。 「ねっねっ波菜お願い!」  奏は両手を合せてわたしを拝むポーズをする。 「う……」  凛子が両手で開く冊子には、童話の中から抜け出てきたかのような白亜の豪邸が映っている。
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