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ちなみに場所は、古くから日本人に親しまれてきた海沿いの温泉街にある。
モナコでもニースでもコートダジュールでもない。
なのに建物だけ見れば、モナコにあると言われたほうがよっぽど納得できる。
「観光地からは、かなり離れたプライベートビーチに建ってるらしいよ?」
「プライベートビーチぃぃ? そんなのほんとに日本に存在するんだ?」
プライベートビーチの響きに凛子は完全に食い気味だ。
「みたいね」
「モナコじゃなくて残念だけど、なんてそそられる単語! 宇城んちってお金もあるんだよね。ズレてるとこに目をつぶって結婚考えてもいいレベルー」
案内冊子を抱きしめうっとり目を閉じて凛子は天井を仰ぐ。
「いや、ねえ。結婚となるとさすがに宇城にも意思ってものが……。それに親が許さないでしょ。うちらみたいな庶民じゃさ」
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