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「親なんて! その気になりゃあ丸め込んでみせるわよ」
奏と凛子はまだ好き勝手なことを話している。
夏休みにわたしたち女子三人は、この宇城家の別荘にお招きを受けている。
男子は多田山くんと森本くんがサッカー部のない二泊三日で、ここに行くことがすでに決まっていて、わたしたち三人にも一緒にどうか、と誘ってくれているのだ。
「ねえ、波菜波菜っ! うち行きたいよー!」
「あたしもー!」
「う……。わかった。じゃあ行くって、返事、し、しししようか」
実はわたしは行きたくない。
行けば自分の気持ちに拍車がかかる事が目に見えている。
でもいままでお世話になりっぱなしの奏がここまで行きたがっている。
理由はおおよそ検討がつくから断れない。
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