◇◇◇◇◇2・シンデレラのドレスは72時間◇◇◇◇◇

15/97
前へ
/259ページ
次へ
「波菜、朔哉と中学の頃、模試で出会ってたんだってね」 「え? ……うん」  宇城くんが明美ちゃんに、二人しか知らないわたしたちの出会いを話していた。 それだけでわたしの心は簡単にしぼんだ。 わたしは誰にも、奏にさえまだ話したことがなかったのだ。 二人だけの思い出にしておきたかったから。 「朔哉に試験中、無理やり消しゴム貸したんだってね。それで事務室まで呼ばれたことがあるって朔哉がこぼしてた。それがお目付け役でもある父親の秘書にバレて、めちゃくちゃ怒られたらしいよ」 「え……」 「朔哉も引くに引けなかったのかその後、親と大ゲンカして大変だったんだってー」 「…………」 「その時のことでお父さんといまだに確執あるみたいだよ。波菜にしてみたらいいことしたつもりなんだろうけど、ずいぶん因果なことにかかわっちゃったもんだよね」
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!

413人が本棚に入れています
本棚に追加