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「波菜、朔哉と中学の頃、模試で出会ってたんだってね」
「え? ……うん」
宇城くんが明美ちゃんに、二人しか知らないわたしたちの出会いを話していた。
それだけでわたしの心は簡単にしぼんだ。
わたしは誰にも、奏にさえまだ話したことがなかったのだ。
二人だけの思い出にしておきたかったから。
「朔哉に試験中、無理やり消しゴム貸したんだってね。それで事務室まで呼ばれたことがあるって朔哉がこぼしてた。それがお目付け役でもある父親の秘書にバレて、めちゃくちゃ怒られたらしいよ」
「え……」
「朔哉も引くに引けなかったのかその後、親と大ゲンカして大変だったんだってー」
「…………」
「その時のことでお父さんといまだに確執あるみたいだよ。波菜にしてみたらいいことしたつもりなんだろうけど、ずいぶん因果なことにかかわっちゃったもんだよね」
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