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とにかく、わたしが宇城くんに好かれているというのは、ありえない話なのだ。
それどころか、実はいい感情を持たれてはいないんじゃないかとさえ思う。
宇城くんはあっけらかんとした性格だから、あからさまな意地悪はしない。
でも彼の潜在意識の底に、わたしのせいで親に怒られたとかその後大ゲンカに発展したとか、そういう事実は残ってしまっている。
だから自分でも気づかない嫌悪感の裏返しで、ちょっかいを出してくるだけなんだ。
今は友だち関係にあるわたしを、事あるごとにからかう。
わたしが真っ赤になってあわあわしているのを見て喜んでいる。
現におもちゃみたいで面白い、とよく言われている。
もう、それでいい。
宇城くんの彼女になんてとてもなれないけど、こうやって友だちとして側にいられる。充分すぎるくらい幸せ。
身に余る光栄。
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