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特急電車の二時間もみんなでわいわいゲームに興じていたらあっという間。
窓の外の色彩は、どんどん緑と青の分量が増えてゆく。
陽光がはじけ、きらきら、からギラギラに変わっていった。
ホームに降りるととたんに強烈な潮の香りが鼻腔をくすぐる。
こんもりとした緑の向こう側はもう海だ。
ホームからもかすかにきらめく水面をおがむことができた。
銀色の光を放ちながらふるえるように揺れ動くさざ波。うすくかすむ水平線。
「きゃーっ! 来ちゃったねー」
「うんうん、素敵!」
夏で海で高校二年で好きな人が一緒!
わたしにとっては身の丈以上の青春だ。
「あれっ?」
「どうしたの? 波菜」
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