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「え? あのー、えーと、そのう、特には……」
わたしは下をむいて、ごにょごにょと呟いた。
「は? 聞こえねえよ。誰だと?」
「……竹河涼……か、な。しいて言えば」
とりたてて好きなタレントはいないけど、わたしに振られた話題を長引かせたくなくて、場当たり的に今人気急上昇中の若手俳優のうちのひとりの名前を挙げた。
宇城くんとわたしのやりとりに、まさにゲラゲラって形容がふさわしい大声で、他の四人が一斉に笑い始めた。
ああ……神さま、仏さま、アーメンです!
わたしを宇城くんからお救いください。
「波菜がそいつのことがタイプなら、俺負けないようにめっちゃがんばるわ!」
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