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ホームの真ん中で立ち止まったわたしに、奏はいぶかしげな声をかけた。
「今の集団の中に……」
「今の集団? あの人たち? 高校生だよね、きっと」
奏は、すれ違った私服姿の五、六人の集団を振り返った。
同じくらいの年齢に見えたからたぶん高校生だ。
普段使いのリュック姿の子が多い。
これからどこかに遊びに行くところなんだろう。
「……なんでもない。見間違いだと思う」
「そう」
洋くんに、似ていた。
小学校卒業を機に転校していってしまった幼なじみだった。
同じ校舎で過ごすことがなくなってから四年以上。
ほとんど話をしなくなってから五年がたつ。
うちの親と奏の親と洋くんの親はまだつながりが強くて、彼が引っ越してからもたまに会っている。
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