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でもわたしも奏も、小学校の卒業式が洋くんに会ったのが最後だ。
引っ越しの時、わたしは会いに行くこともできなかったけど、奏はもしかしたら行ったのかもしれないな。
洋くんは、あんなに背が高くはなかった。
見間違いだ、きっと。
第一、洋くんが転校して行ったのはこの地域じゃなかった。
「うわあ! パンフレットで見たとおり!」
奏が感嘆の声をあげる。
観光用のビーチから離れた場所に、その白亜の豪邸はひっそりと建っていた。
個人の別荘というよりは高級プチリゾートホテルのよう。
建物の前には白い砂浜が見渡す限り続いている。
防風林になっている松林が道路との境にあるせいで、日本語の看板がどこにも見えない。
建物が建物だけに、外国だと言われれば納得もできそう。
この豪邸とビーチを二泊もわたしたちが独占っ?
「う~~~ん!」
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