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「至れりつくせりだねー。幸せ!」
凛子が半目になる。
顔が溶けそうだよ。
「まず部屋に荷物置いてそれからどうするか計画たてようぜ。この二泊三日の」
「そうだな。朔哉」
多田山くんが宇城くんの言葉を受け、そこから六人で幅の広い階段を上る。
「ここの隣りあわせの二部屋が、一番眺めがいい」
宇城くんが並んだ二つの扉をちょんちょんと、指さした。
どっちとも断らずに片方のドアノブを下げ、つかつかと最初に中に入ったのは凛子だった。
荷物をテーブルセットの椅子のひとつに投げ出して窓辺に駆け寄る。
「うっわーっ。見て見て! 目の前海だよ! 高級バスローブが似合いそうな極上の眺め」
「なんだその変な形容」
凛子が紫の花柄バスローブを買ってしまったことを知らない森本くんがそう返して、廊下に荷物を落として隣に並ぶ。
こっち側の部屋が女子部屋になったらしい。
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