◇◇◇◇◇2・シンデレラのドレスは72時間◇◇◇◇◇

33/97
前へ
/259ページ
次へ
「至れりつくせりだねー。幸せ!」  凛子が半目になる。 顔が溶けそうだよ。 「まず部屋に荷物置いてそれからどうするか計画たてようぜ。この二泊三日の」 「そうだな。朔哉」  多田山くんが宇城くんの言葉を受け、そこから六人で幅の広い階段を上る。 「ここの隣りあわせの二部屋が、一番眺めがいい」  宇城くんが並んだ二つの扉をちょんちょんと、指さした。  どっちとも断らずに片方のドアノブを下げ、つかつかと最初に中に入ったのは凛子だった。 荷物をテーブルセットの椅子のひとつに投げ出して窓辺に駆け寄る。 「うっわーっ。見て見て! 目の前海だよ! 高級バスローブが似合いそうな極上の眺め」 「なんだその変な形容」  凛子が紫の花柄バスローブを買ってしまったことを知らない森本くんがそう返して、廊下に荷物を落として隣に並ぶ。  こっち側の部屋が女子部屋になったらしい。
/259ページ

最初のコメントを投稿しよう!

413人が本棚に入れています
本棚に追加