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心臓が確実に飛び出しかける。
押し方が強くて危うく宇城くんにのしかかってしまうところだった。
ベッドに座る宇城くんのすぐ横で、たたらを踏んでどうにかとどまる。
隣でドタバタしているわたしを、宇城くんは首をひねって見上げてくる。
「波菜、一緒に行く?」
宇城くんは、流れで自然にそう口にした。
いつもなら。
いつものわたしなら、ここできっと尻込みしちゃう。
ネガティブに考えて、またからかわれているんだ、とか、二人っきりになって抑え込んでいる気持ちが爆発したらどうしよう、とか考えて。
「行く!」
スイッチが入った。
中学時代、宇城くんにはじめて会ったあの模試の時のように。
一緒に買い物に行こう、と好きな人が誘ってくれた。
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