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せめてここにいる間だけは、王子様の招集には素直に応じよう。
魔法の光線にだってみずから突っ込んでみせようじゃないか。
高校に入った時に、もう奏のうしろにかくれてばかりの女の子は卒業すると決めた。
それなのに、いまひとつ行動に移せずにここまできてしまっている。
魔法のかかっている今こそそれを実践するべきなんじゃないの?
「お、おう。波菜行ってくれるのな?」
「うん! 行くよ。いっぱい買ってこようね!」
いつもは困り顔をするわたしの、嬉々とした反応に、宇城くんのほうが腑に落ちない面持ちになる。
そんなわたしと宇城くんを見守る仲間四人が、微妙にニヤニヤしているのが気にならなくもない。
多田山くんと奏は全く同じポーズで腕組みをして、したり顔までしている。
でも勘違いだけはしない。
宇城くんがわたしを誘ってくれたり、よく「おもちゃみたいでかわいい、面白い」とかまうのは、好意なんかじゃないのだ。
「おもちゃみたいでかわいい、面白い」がどんなに恐ろしいものか、わたしは体験的に知っている。
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