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かくして食料調達部隊のわたしと宇城くんは、お昼ご飯を外で食べてくることになった。
わたしは宇城くんの自転車の後部座席に、空っぽの巨大なリュックを背負って座っている。
宇城くんが昨日、別荘の中をくまなく捜して発見した登山用のリュックだ。
腰に手をまわすなんて大胆なことはできなくて、サドルの下を両手でぎゅっと掴むのがやっとの状態。
宇城くんが、軽装! 軽装! とにかくめちゃくちゃ軽装! を主張するから、なんてことのないTシャツに、切りっぱなしデニムのショートパンツになってしまった。
もっと可愛い洋服だって持ってきていたのに。
それこそあの真っ白妖精ワンピとか。
まあ、あれはどう考えても食料調達には向かない。
自転車を運転するのは宇城くんだけど、それは松林の中だけだ。
わたし走るよ、って言ったのに、ちょっとでこぼこ道を二人乗りがしてみたい、と返された。
私有地だからこの松林は庭みたいなものなんだろう。
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