◇◇◇◇◇2・シンデレラのドレスは72時間◇◇◇◇◇

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まだ真っ赤なはずの顔をあげ、唇を尖らせると宇城くんをにらんだ。 わたしだって怒る時は怒るよ。 あんまり舐めないでほしい。 「これでいいんだね!」  まだこっちを向いている宇城くんのお腹を、力を入れて両手で抱きしめる。 いきなりのわたしの行動にびっくりしたのか、きつく締めすぎて息がつまったのか、宇城くんはわずかに唇をあけて眉間にしわを寄せた。  黙り込み、前を向く。 その瞬間に見せた横顔は、何かに耐えるようなひどく苦しそうなものだった。 いつもふざけてばかりいる宇城くんの見たことのない表情に、わたしはあわてて手をひっこめた。 そんなに、苦しかった?  ……それとも嫌だった? 「……だから、ちゃんと掴まってないとあぶないだろ」  呟くようなその声音に、さっきまでのからかいの調子はみじんも含まれていない。 初めて聞く宇城くんの低くかすれた、重い声。 心臓がドキドキと急に主張を始める。
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