第1章 残念王子に奇跡の再会

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 奏が宇城くんの頭を平手で豪快にスパコーン! と叩く音が聞こえた。  さっきまで一緒に笑いころげていた奏が、わたしの赤面症のことを宇城くんが指摘したとたん、豹変して怒(いか)りだした。 「だって波菜。俺がなんか言った時しかここまで真っ赤になることないぜ? 意識されてるみたいで超気分いいし。もうなによりかわいくて! おもちゃみたいで!」  ……なんですか、そのおもちゃ、って!  嫌な思い出があって苦手なんだよね。 その〝おもちゃみたいでかわいい〟という表現方法は。
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