どっちも痛い

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「……いっ、……たあ」 降ってきたそれは足元に転がったスマートフォンだ。 赤い革製のブックカバータイプのそれが着いている。わりと特徴的だ。 手に直撃し、じんじんしてきた。少しずつ赤くなってくる。 他に近くに人はいなかったので、私一人の被害で済んだのはよかったのか悪かったのか。 エスカレーターになんか乗らなきゃよかった。 そのうち上の階に着き、足元に転がったスマートフォンが引っ掛かっている。 痛みを堪えながら仕方なく拾い上げた。 「なによもう……誰?」 画面にヒビが入っている。 どのくらいかわからないけれど、上から落ちたのだ。それはそうだろう。 ハッとした。 このまま持っていては、落とし主が現れ、弁償しろとか言われないだろうか。 そういう詐欺があると最近聞いた覚えがある。
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