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あらすじ
目覚めるとそこは屋外階段の踊り場だった。
下を見てから、青空を仰いでニシキは叫んだ。
「やった!私は鯉のぼりになれたのだな!前世は酷かった…」
喜んだのも束の間。人間になった事に気づき、ふて寝していると、屋上で学生の告白現場にいあわせる。男子生徒の煮えきらない態度にキレて颯爽と飛び出す。学校に似つかわしくない美人に驚く生徒達。美しいが明らかに不審者だ。
ー職員室
「先生、屋上に不審者が!」
「立入禁止の屋上の鍵を勝手に持ち出したのはお前か!」
「だから、不審者…!」
立入禁止の真っ昼間の5階の屋上に忍び込む事にメリットがあるのだろうか。誰も生徒を信用しない。しかし、問題児とはいえ、涙目の生徒を無視する訳にもいかない。教師一同、ハナコをみる。
「…今野先生、一応見てきてもらえますか。」
「…はい。」
ー屋上
鍵は逃げた生徒がかけた。元サカナ、現ニンゲン。5階から飛び降りることが出来るとは思えなかった。仕方なく大好きな青空を見ながら、踊り始めた。なるほど、いろんな動きが出来る。人間であるのも中々楽しそうだ。
それを見たハナコは美しさに飲まれた。目があう。
「アンタは泣きそうな情けない顔で私の餌やりをしていた教師じゃないか!」
「わわっ、私は貴方のような美人にはご縁がありません!」
「酷いなあ!ほぼ毎日会ってたのに!」
ー職員室
「警察を呼ぶほどの事でもないだろう。今野先生、責任をもって交番に届けなさい。」
しかし、1階に行くとニシキは消えてしまう。ハナコはニシキを学校内に匿うことにする。
ハナコはまたニシキの餌やり(手作り弁当)をすると同時にハナコが担任を務めるクラスのモンスターペアレントやSNSトラブルについて愚痴を言う。女の愚痴はただ聞いてほしいだけである事が多いのにニシキは良くも悪くも真っ向から挑む。ハナコは奔走する一方、自分に足りない物に気づき始める。
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