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「まあ、花子さんには間違いないんだけどちょっと違うかな。そこはもう廃校になってとっくに取り壊されたんですけどね」
「なにそれ? どうやって取材するのよ」
「先日、その小学校の卒業生という女性から手紙をもらいましてね。昨日、速達でお宅に送りましたからもう着いてるはずですよ。まあ、読んでみてください」
「わかった。じゃ、それを読んでから返事するわ」
コーヒーを一気に飲み干して席を立つ。
ちょっと興味が湧いてきた。いったいどんな話なのだろう。
家に帰ると手紙はすでに届いていた。
出版社の茶封筒から出てきたのは数枚の便箋。そこには丁寧なペン字でこう書かれていた。
前略 いつも貴誌を購読しております。私は村上結衣子と申します。私が体験した実に奇妙な出来事について取材をお願いしたく筆を取らせていただきました。
私の住んでおります九取くとる村にはかつて一校だけ小学校があり、昔から言い伝えられてきた怪談があったのです。それは「ハナコサン」というものでした。村の地主さんが建てたこの学校はとても広くて、余っている教室がいくつもありました。
なんでも、この学校には「ハナコサン」があるのだけど、絶対に探してはいけないというものでした。もし見つけたら恐ろしい呪いがかかり、一生逃れることが出来ないと。
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