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ショッピングもいいが映画館も捨てがたい。
それとも遊べるところがいいだろうか。
二人でデートプランを考えて、あそこに行きたい…
じゃああそこはと言い合う時間が楽しくて外が真っ暗になっても続いた。
ーーー
翌朝になり、腰もだいぶ治った。
泊めてもらったお礼に台所と食材を借りて朝食を作った。
スクランブルエッグと食パンという定番の朝食にした。
いつぶりだろうか、誰かと朝食を食べるのは…
「じゃあ行きましょうか、佐助さん」
「うん、郁人くん」
食べ終わった食器を二人で片し手を繋ぎ家を出た。
母親に捨てられた時、俺は絶対に幸せになれないと諦めていて…笑う事も忘れていた。
…でも、今の俺は自然に笑えていると思う。
こんな俺でも幸せになれる権利があると彼は教えてくれた。
冷たい部屋から暖かい手で引っ張り出してくれた。
俺にとって大切な、かけがえのない人。
「映画の時間までまだあるんで、そこらへんぶらついて…」
「郁人くん」
少し背伸びして頬に唇を押し当てた。
呆然となったが、すぐに顔を赤くする郁人くん…昨日あんなにしたのにと笑う。
この先人通りが多いから今のうちにしておき、先を歩く。
俺の頬は郁人くん以上に赤くなっているのを見られないために足を早めて楽しいデートの時間が始まる。
(END)
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