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遠くから犬塚くんを呼ぶ声がした。
友達かな?と思っていたら犬塚くんは立ち上がった。
「アイツに東金先輩を知られるわけにはいかない……東金先輩、俺もう行きますね」
「うん、ありがとう」
最初は小声で呟いていたから何を言ってるのか分からなかったが犬塚くんは八重歯を見せて人懐っこく笑った。
自分を慕ってくれる後輩が出来るとは思わなくて嬉しい。
…慕ってないかもしれないけど、仲良くなれた気がしてやっぱり嬉しかった。
階段を降りる途中で犬塚くんはこっちを見た。
「絶対呼んで下さいね」
「うん、なるべく危ない目に合わないようにするね」
「…何でもない時でも、電話していいですよ」
犬塚くんは照れたような真っ赤な顔になり、逃げるように何処かに行ってしまった。
気軽に電話しても良いのだろうか、社交辞令かもしれないと思うとなかなか電話出来ない。
自分に自信がない性格を直さないと俺はずっとこのままのような気がする。
長い前髪とメガネに触れる。
ずっと殻に閉じこもってちゃダメだよね…変装は外せないが、せめて性格でも…
そして俺は決意して立ち上がった。
まずは内気な性格を直そう!そして強くなるために体を鍛えよう!
お金がない時、本は買えないがネットに情報が沢山載ってて便利だ。
色々見て、自分に出来そうなものを試す事にした。
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