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怒られたが、先生の不注意だし俺が大怪我だったからすぐに解放してくれた。
保健室に行き、保健の先生に手当てしてもらい犬塚くんに支えてもらいながら下校した。
「先輩、なんであんなところに?」
「…あ、えっと」
「まさかまたアイツら…」
「ち、違うよ!今日は生徒会会計の親衛隊で……あ」
心配掛けたくなくて黙っていたのについ言ってしまった。
支えるために俺の腰に添えられた手に僅かに力が入る。
険しい顔をする犬塚くんに申し訳なく思った。
俺のせいで犬塚くんの疲れが溜まってるように思えた。
「…ごめんね」
「なんで先輩が謝るんですか」
そう言った犬塚くんはニッと笑った。
犬塚くんは優しい…その優しさに俺の気持ちが暖かくなる。
…ずっと側にいてほしい、そう思える…不思議だ。
「俺、先輩が好きです」
夕日に照らされた犬塚くんの横顔を眺めていたら突然そんな事を言う。
彼の冗談だろうかと考える。
何の取り柄もない自分を好きになるわけないと切なくなる胸を見ないふりして自分なりに精一杯笑う。
笑うのは苦手だが、犬塚くんの笑顔に釣られれば自然と笑えた。
「俺も、犬塚くんが好きだよ」
「…うん、そうですか…嬉しいです!」
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