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昨日はあれから眠るのが怖くなり、寝不足のまま学園に向かう。
またあの幸せな夢を見たくなくて…
犬塚くんが見たらまた心配させちゃうかもしれない。
でも、その心配は無駄に終わった。
今日は犬塚くんに合わなかった。
おはようメールには返信があるからそんな日もあるだろうと思っていた。
しかしそれが一週間にもなると不安でいっぱいになる。
昨日送ったおはようメール…いつもならすぐに返信があるのに今日まで何もない。
なにか事件に巻き込まれたのではないかと心配になる。
そして廊下を歩いてる時だった。
「昨日は楽しかったな!郁人!」
帰ろうと思っていた足を止めた。
向こうから歩く三人が見えた。
一人は生徒会補佐の進藤でもう一人はよく分からない。
そして犬塚くんが歩いていた。
友達といるところを声かけたら迷惑かと思い口を閉ざす。
もうだいぶ傷は良くなったよと伝えたかったがメールでもいいかな…本当は直接言いたかったけど…
そんな事を考えていたら犬塚くんに先に気付かれた。
挨拶ぐらいしようとして、口を開けたがその前に犬塚くんは驚き逃げるように去っていった。
………え?
進藤が犬塚くんの後を追うのをボーッと眺める。
俺、避けられてる?
何でだ?…もしかしてあの時の告白で俺の気持ちに気付いたのか?
だから、気持ち悪がって逃げたの?
ごちゃごちゃと悲しい感情が溢れていき、その場から動けなくなる。
…ごめんなさい、気持ち悪くて…ごめんなさい。
「あんたが、東金先輩?」
いきなり声がして俯いていた顔を上げた。
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