283人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
ドアの前で取り残された俺は膝を曲げて座る。
なんか中から凄い音がして犬塚くんの悲鳴が聞こえる。
…掃除が苦手なのではないのか。
別に汚くても気にしないとチラッとドアを開ける。
犬塚くんは床に散らばってるものをクローゼットに押し込んでいる。
…それをやると最悪クローゼットが開かずの間になる。
「犬塚くん、手伝うよ…触っちゃいけないものは言ってくれれば触らないから」
「だ、ダメです!東金先輩はお客さんなんだから!」
そう言い犬塚くんは半分掃除をしようとして散らかした部屋を見渡し、沈黙する。
このままじゃせっかく話しに来たのに何もしないで帰りそうになってしまう。
犬塚くんは渋々といった感じで俺を見た。
「…お願い、出来ますか?」
「任せて!掃除は得意!」
バイトで鍛えられた掃除テクニックを披露して足場がなかった部屋が綺麗になる。
意外と勉強の本が多くて苦労して有栖院学園に入ったんだなと分かる。
犬塚くんは人一倍努力家なのだと思った。
「適当に座ってて下さい、今飲み物持ってくるんで」
「ありがとう」
犬塚くんがいなくなり、綺麗になった部屋を見る。
友達の家なんて来た事ないから何すればいいんだろう。
スマホを片手に調べてみる。
もし間違った事をしてしまったら大変だ。
ふむふむ、なるほど…
ガチャと部屋のドアが開いた。
「先輩、お茶とジュースどっちが…!!!!???」
「あ、おかえり」
犬塚くんの方を振り返ると持ってきた飲み物をこぼしそうになりなんとか踏ん張っていた。
そんなに驚く事をしただろうか…
最初のコメントを投稿しよう!