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ベッドの下を覗いただけだったが、ダメだったのか?
犬塚くんはばくばくと心臓がうるさいほど動揺して飲み物をテーブルに置く。
「…な、何してたんですか?」
「いや、友達の家に来たらまずはエロ本を探そうと…」
「あるわけないですよ!!」
ないのか…ネットを何でも信じない方がいいのか。
でも、エロ本ではないが別のものは見つけた。
反応に困るが、戻しといた方がいいのかな?
犬塚くんはなにかを確認するためにベッドの下を確認していた。
「犬塚くん、探し物はこれ?」
「!?」
「ごめんなさい、返すね」
犬塚くんは冷や汗を流しながら写真を受け取った。
その写真は何処から撮ったのか、俺が体育の授業中に走ってる写真だった。
体力なさすぎて途中でバテている…恥ずかしい。
ベッドの下にエロ本はなかったが、なんでこの写真があるのか不思議だ。
犬塚くんは見られたからか開き直り写真をテーブルに置いた。
「俺、東金先輩が好きです」
「…え?」
「勿論、恋愛対象として見ています」
犬塚くんの瞳は真剣だった。
俺の都合のいい幻聴なのではないかと思ってしまう。
…だって、犬塚くんは俺の気持ちを知って気持ち悪いと思ったから避けてたのではないのか?
「じゃあなんで避けてたの?」
「だってそれは…東金先輩が俺を後輩として好きでいてくれてるから、この関係を壊したくなかったんです…貴方といると、俺の欲望が爆発しそうで、正反対の嫌いな奴の側にいて抑えてたんです」
嫌いな奴って、進藤の事?てっきり進藤が好きなんだと思ってた。
俺の気持ちに気付いてなかったんだな。
ギュッと犬塚くんの拳が握られた。
告白するのはとても勇気があり、怖いのだろう。
この関係が壊れてしまう、その覚悟なのだから…
「さっき紺野に東金先輩への気持ちをぶつけて、必死に抑えていた感情が爆発しました…もう、貴方の後輩でいられません…ごめんなさい、気持ち…悪いですよね」
犬塚くんは下を向いて体を震わせていた。
…俺と同じ事で怯えて、悩んでいたんだな。
最初の告白の時、もし俺が「どういう意味?」と聞いていたら犬塚くんはこんなに苦しまなかったのだろうか。
でも、あの時の俺は犬塚くんへの気持ちに気付いてなかったからどうなっていたのか分からない。
今は違う、自分の素直な気持ちを言える事が出来る。
肩に触れると震えが手に伝わってくる。
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