本編

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ギュッと抱きしめる、年上の余裕を少し見せとかないと格好悪いかな?と考えていた。 「犬塚くんが気持ち悪いなら、俺も気持ち悪い?」 「……せん、ぱい?」 「俺だって好きだよ、でも犬塚くんに避けられて俺の気持ちに気付いて気持ち悪いって思ってたのかと思って…」 「先輩が気持ち悪いわけない!」 ギュッと強く優しく抱きしめ返された。 犬塚くんの赤い髪を撫でた。 一人だと寂しいけど、二人だとこんなに暖かいんだ。 「先輩も俺と同じって事?」 「うん、好きだよ…郁人くん」 一度犬塚くんを下の名前で呼んでみたくて口にしたが、思った以上に恥ずかしくて頬を赤くして犬塚くんの肩に顔を埋める。 犬塚くんの顔は見えないが耳が真っ赤だ。 嫌じゃないって思っていいのかな。 「…佐助さん」 耳元で男らしい低音ボイスが聞こえて今度は俺が真っ赤になった。 これは、なんというか…初めて佐助さんなんて呼ばれた。 嬉しいが照れる。 二人で真っ赤になりながら、しばらく抱きしめ合っていた。 俺を暗闇から連れ出してくれたのは、やっぱり太陽のような君なんだね。 俺もいつか、恩返し出来たらいいな… ね、郁人くん。
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