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「先輩、今日泊まっていきますか?」
「…えっ、いいの?」
「はい、明日休みですし…その…」
何も喋らず横に座っていたら郁人くんは口ごもりながら提案する。
こんなに甘えてしまっていいのだろうか、迷惑じゃないか不安でいっぱいになる。
郁人くんは俺の手を握る。
「き、今日…誰も帰ってこないんです!だから…佐助さんと愛を確かめ合いたいというか…」
郁人くんは顔を赤くしつつ必死に口にする。
さすがに無知でも郁人くんの反応を見れば何が言いたいのか分かる。
正直恋人経験がないが、ちゃんとやれるだろうか…
勉強してからの方がいいかな…?
さっき信用出来ないと思ったばかりだが基本は知っとかないととスマホを取り出す。
「ちょっと待ってて!今調べるから!」
「………へ?」
郁人くんは呆然としながら俺を見ていた。
男同士でどうやるのか分からず急いで調べる。
ゲイ向けのサイトが出てきたからこれかな?とタッチする前に郁人くんの手でスマホの画面が覆われた。
俺より手がおっきいな…とボーッと考える。
「他人の裸なんて見ないで下さい」
「えっ、でも調べないと」
「佐助さんは何も考えなくていいです、俺が勉強したんで…俺に任せて下さい」
後ろから抱きしめられて鼓動が早まる。
スマホは取り上げられてテーブルに置かれた。
振り返ると郁人くんに唇を塞がれた。
舌が入り、どうすればいいか分からない俺の舌と絡まり息継ぎが出来ないほどの濃厚な口付けにクラクラする。
やっと唇が離され初めてのキスに脳が溶かされたようで何も考えられなくなる。
郁人くんも今までのウブな反応からして初めてだろうに余裕そうな顔にちょっと悔しく思う。
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