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何というか、俺を見た目で判断せず怖がらない奴に久々に会った。
見た目はカツアゲされそうな根暗なのにな。
俺はこの男に興味が湧いた。
もっともっと知りたい、純粋な好奇心だった。
「なぁアンタ、名前は何処の学校?」
「有栖院学園一年、東金佐助」
「そっか、佐助か…俺は犬塚郁人」
その日長くも短くもない道を話しながら帰った。
受験とか興味なかったし、高校に行く気もなかった。
…でも、行ってもいいかもしれないと思い始めていた。
俺の頭じゃ鼻で笑われるほどの名門だが、覚えはいい方だ…やらないだけで…
その日から、この世で一番嫌いだった勉強を毎日必死にやるようになった。
あのちょっと間抜けな根暗に会うためだけに…
そして、俺の努力は報われた。
ーーー
有栖院学園は名門中の名門男子校だった。
この学園に入学して分かった事が多々ある。
まず生徒会は神のように崇められていた。
実力があって選ばれた事は分かるが、何というか…そこが一番驚いた。
男子校だからか同性愛者は少なくなく、全てが未知なる世界だった。
…もしかして、東金先輩も?
うーん、なんか違う気がする。
なんかボーッとしてるし、ちょっと目を離したら襲われる気がする。
守らなきゃと妙な使命感に燃えた。
そして凄いのは入学式とズレた季節に来た季節外れの転校生…男を落とす天才じゃないのか?と思った。
もじゃもじゃの頭でモテるんだから、そういうのが好みの奴が多いのかも…根暗スタイルの先輩だって充分そういう対象になりえる。
ちなみにもじゃ頭の名前は進藤涼志…先輩だが、先輩だと言いたくない。
まぁ有名人だし、関わらないと思ってた…思ってた。
「なぁ名前なんて言うんだ!?俺は進藤涼志!」
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