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「…え、犬塚郁人」
「よろしくな!郁人!」
まさか東金先輩を探そうと二年の教室に来たら曲がり角で派手にぶつかった。
相手が東金先輩だったら嬉しかったんだが、なんか耳元で大声で喚かれて耳が痛くなった。
鋭い瞳で睨むと、もじゃ頭がキョトンと俺を見ていた。
…あぁ、コイツは例の有名人か。
有名人なら顔が広いし東金先輩の事知ってるかな?と思い声を掛けた。
それが悪夢の始まりだとも知らずに…
東金先輩の事を聞く暇もなく俺は何故か進藤涼志の取り巻きになってしまった。
なにがどうしてこうなった?わけわからん。
東金先輩に会いに行きたくても休み時間放課後は必ず進藤涼志が迎えに来て、生徒会に入ったからとずっと護衛のように進藤涼志の後ろで見守っている。
…どうせなら東金先輩を見守りたかった、とため息を吐く。
俺の横にはサッカー部のエースの紺野筑紫(こんの つくし)がいる。
最初はコイツも被害者だと思っていたが、進藤涼志にニコニコして接していて楽しんでるならホッとくかと思った。
そして入学して三ヶ月が経過した。
最悪だ、あの人を追いかけて来たのに全然会えない。
目の前の進藤涼志はお菓子ばっかり食べて生徒会の仕事を全然しない。
いる意味あんのか?
副会長と書記は全く気にせず仕事をして、時々進藤涼志と目が合うと手を振っている。
…だんだん会長と会計の顔が見れなくなってきた…明らかに怒ってるからな。
「ねぇ犬塚」
「あ?…何だよ」
この状況に慣れてきたからか、先輩である紺野にも態度が悪くなった…元々いい子ちゃんじゃないし…
紺野は全く気にせず言葉を続けた。
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