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「涼志の事、どう思う?」
あ…これは、初めて会った時副会長達にも言われたな。
あれから答えは変わってないのに…
うんざりしてため息を吐く。
「どうも思わねぇよ、他に好きな奴いるし」
「…そう、良かった」
紺野はホッとしたような顔をする。
そもそも俺はホモじゃねーし…普通に女が好きだっての!
…でも、適当に好きな奴がいるって言って頭に浮かんだのは何故か東金先輩を思い出した。
いやいや、東金先輩を変な奴らから守りたいって思ってるのに俺が変な奴になってどうするんだよ。
「涼志に手を出したら許さないよ」
「は?なんか言ったか?」
「…別に」
東金先輩の事を考えていて紺野の言葉を聞いていなかった。
聞き返すが紺野は言うつもりがないのか、会話は終了した。
特に気にならなかったから俺もすぐに忘れた。
ーーー
そしてそれは現れた。
いつものように進藤涼志の後ろを歩いていた時、ふと廊下の窓から裏庭を見た。
数人の生徒が固まって誰かを囲んでいた。
…リンチか、なんか最近多いな。
嫌な気分になるが他人の喧嘩に口を出すのもどうかと思い目を逸らそうとして中心にいた人物が転ばされて顔が見えた。
目を見開くと同時に怒りが湧き上がった。
「悪い、紺野」
「どうかした?」
「ちょっとトイレ」
「えっ!?何処行くんだよ郁人!!」
進藤涼志に言ってもしょうがないから紺野に言い急いで行く。
後ろからうるさい声が聞こえたが無視をした。
やっと見つけたんだ、このチャンス…逃すわけにはいかない。
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