本編

6/30
前へ
/30ページ
次へ
ー佐助視点ー 「あ、の…俺じゃないです」 「うるせぇ!お前がやったんだろ!?」 全然話を聞いてくれない…どうしよう。 俺は目立ちたくなくて…誰かの親衛隊に入れば目立たないと思ってた、だから生徒会副会長の滝川清隆(たきがわ きよたか)様親衛隊になったのに…まさか、こんな事になるなんて… 俺の旧姓は支倉(はせくら)佐助…支倉財閥の跡取りだった。 しかし両親は離婚して俺は母に引き取られ、支倉から東金となった。 母と再婚相手は俺が高校に入ったばかりの時に俺に借金を残し夜逃げした。 残されたのは借金だけで、バイトをしながらボロいアパートで一人暮らしをしている。 昔は支倉の跡取りとして社交場によく行き、紹介されてたから平凡な顔だが知ってる人がいても可笑しくない…有栖院学園は一般生徒はいるが大半は御曹司ばかりだ。 今の元当主が借金まみれとか、学費を払ってくれてる支倉の父さんに悪いと感じて前髪を長くしてメガネという変装して目立たなくしていた。 この学園が同性愛者が多いのは知ってる。 しかし特に滝川様が好きというわけではないし、今まで男を好きになった事はないから多分ノーマルだ、うん。 そして今滝川様の親衛隊だった事をとても後悔している。 …もっと人気がない人の親衛隊になれば良かった…あ、人気がなかったら親衛隊なんてないか。 「随分余裕そうだなぁ」 「…顔は生まれつきです」 好きで無表情になったわけではない、過酷な環境で育てば笑い方も忘れてしまう。 俺がなんでこの人達に絡まれてるかというのは… 俺のところの親衛隊の誰かのせいらしい。 彼らは生徒会書記の親衛隊だ。 生徒会書記の原田千景(はらだ ちかげ)様は無口無表情だが、正直ナルシストがある滝川様より美人な人だ。 そのせいか、原田様の親衛隊はゴツい男が多いし血の気も多い。 しかも滝川様と原田様は生徒会補佐の進藤を取り合う恋のライバル。 親衛隊の距離も近くなり、最近は進藤を押し付けあっている。 進藤が原田様を選べば滝川様親衛隊を喜び、進藤が滝川様を選べば原田様の親衛隊は喜ぶ。 俺としてはどっちでもいいから傍観していた筈だった、さっきまで…
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

285人が本棚に入れています
本棚に追加