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『嫌だ。舞って男いないとき、超かまってちゃんになるから面倒くさい』
『あんた甘やかすと毎晩泊まりにくるからダメ』
『去年ホールケーキ要求した挙句にお金、私が払わされたの覚えてる? たまには独りで過ごしなさい』
中学の同級生からの返信は、見事に全滅だった。自分らだって彼氏がいないくせに、揃いも揃って生意気な言い草だ。悔しい。私はそんなに面倒な女じゃない。
……いや、面倒だから振られたのか。
分かっている。私は重い女だ。
彼氏には、二十四時間私のことを気にかけていてほしい。そばにいて、今日あった会社のお局さんの愚痴を聞いてもらいたい。誕生日やクリスマスのプレゼントは愛の形なので、とにかくたくさんもらいたい。
彼氏がいないと、その欲求が友達や家族にまで及んでしまう。その結果がこの返信なのだ。もういい大人だというのに、なんで私はこんなに甘えたなのだろう。
十七時のチャイムが鳴り、会社の定時となった。私はパソコンの電源を切り、引き続き残業に励む先輩たちを横目にお先です、と言って席を立つ。しかし、早く帰ってももう誰とも会うこともない。寂しい。やっぱり誰かに、そばにいてほしい。
ふとスマートフォンを見ると、チャットが入っていた。
『恭介から。クリスマス、風邪が治ってたらおいでだって!』
あずちゃんからだ。私はついにんまりとしながら、ありがとうと返信した。
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