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私は顔を上げる。
兄貴だろうか。思ったより早く仕事が片付いたのかもしれない。私はあずちゃんの顔を見ると、あずちゃんは行ってきて、とその視線で言った。
だけれど、兄貴にしては自分で鍵を開けて入ってくる様子が無い。私がドアを開けてあげると、そこには先日私がクリスマスの誘いを断られた、懐かしい中学の同級生三人が立っていた。
「お邪魔しまあす。あれ? なんで舞がいるの」
「やだあ、舞!? 今夜は嫌なお酒になるわあ」
「ええ、舞の分のケーキ持ってきてないよ」
三人が口々に愚痴を吐き出す。私はぽかんとしてその様子を見ていると、あずちゃんがくつくつと笑いながら後ろから寄ってきた。
「私が三人を呼んだの。懐かしいね、この面子。せっかくの女子クリスマス、二人だけじゃ寂しいからね。……舞ちゃんが今日来てることは、話さなかったけど」
「もう、舞がいるなら今日来なかったよ!」
みんながケラケラと笑う。ひどいものだ。私、人望が無さすぎる。
「ひっど……」
私はそう呟きながらも、みんなの笑顔に思わず笑ってしまった。
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