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クリスマスは兼同窓会となり、大いに盛り上がった。
あずちゃんが大量に用意した料理はどんどん減っていったが、追加で持ってきていた三人の料理がそれを補った。私が一番よく食べるくせに、手ぶらで来たのは私だけで、日頃無遠慮の私も流石に申し訳ない気持ちになった。
同級生三人は三人とも、何故かケーキを持ってきていた。
あずちゃんから、それぞれがケーキ調達担当だと言われていたらしい。一人三個のケーキを持ち寄り、計九カットものケーキが集まった。三人がリビングで盛り上がっている中、私とあずちゃんは台所でそのケーキを皿に盛った。
「ほら! これでだいたいワンホールケーキじゃない?」
確かに。無理やり丸く整列させると、歪なワンホールケーキになった。私の望み通りだ。もし兄貴がいたら、大食らいの兄妹二人でペロリといってしまったかもしれない。
そう思って、ふと考える。
それぞれが持ち寄った三つのケーキ。
それは、同級生三人の分。あずちゃんは妊娠中なのでケーキは避けている。そして私の存在は内緒にしていたとしても、兄貴の分が含まれていない。
あずちゃんは、最初から兄貴がどうせ今夜残業になることを予感して、ケーキを三つ、みんなにお願いしたのではないか。
「……やっぱり、新婚の初めてのクリスマスなのに、兄貴がいないと寂しいよね」
つい、そう言ってしまった。
私が逆の立場だったら。東京湾クルージングも無く、夜景の見えるディナーも無く。サプライズのホールケーキも無く、彼氏が仕事に行ってしまったとしたら。
私なら喚くだろう。電話をして、早く帰ってきてとせがんでしまうだろう。寂しくて、どうしようもなくなってしまうだろう……。
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