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そしてそれが……今ではコイツの部屋の隅に追いやられている。
『私達、親友でしょ!』
そう言ってた少女の面影は、一体どこに行ったのやら。今では行方不明だな。
「そー言えば、あれがあったな」
と言って、ケイはよっこらしょと立ち上がる。
召し使いのようにせっせと片付け出す俺を置いて、台所へと姿を消した。
お前なぁ……人がせっかく片付けてやっているのに、お礼の言葉もなしで何飯を食おうとしているんだよ。
はぁ……クッキーのお礼に、ってやった貯金箱が空のまんまボロボロとはな。これじゃ、あげた意味があったのかどうか。
「ほいっ」
「わっ!……とっ……」
いきなり投げ出されたそれに気付き、慌てて取る。それは手の平で何度か跳ねて漸く収まってくれた。よく見てみると、メッセージつきの手作りクッキーだった。中身が見える袋の口を丁寧にリボンで閉じてある。
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