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夏の森(夢)
夢を見ていた。
巨大なスクリーンに映し出されるその映像を眺める。再生を止めることは、観客である俺にはできない。
それは、誰かの呪いじみた追憶だった。
「それは、とある真夏日だった」
炎天下、アスファルトの上で陽炎が揺れている。
Y字路の側に設置されたカーブミラーに己の姿が写る。白い野球帽に、マリンボーダーのTシャツ。ポケットの多い半ズボンに、くるぶし丈の靴下と、薄汚れ始めたスニーカー。スポーティーな格好だ。少年のようだった。
「私は別に、運動をしに出かけたわけではなかった。家の中がつまらなすぎて、ぶらぶらと外に出たのだ。外は暑いと知りながら、その暑さを実感したいがために、外へ出た。それに、多少は肌を染めておかなくては夏休み明けに教室で浮いてしまうのではと心配したところもあった」
少年はこう見えて女子だ。俺は彼女を知っている。彼女のこの夢を見ることも、これが初めてではない。
少女は中学校の近くまでやってきた。五差路の交差点で立ち止まる。
「私はフェンスに閉ざされた、由来不明の祠を思い出した。好奇心がむくむくと湧き上がるのを感じたが、それよりも気になることがその近くにあった」
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