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「…じゃあ…じゃあ、雅継さんの気持ちは!?」
俺が肯定してくれるものだと思っていたのか、亜以子は必死にすがって聞いてきた。
俺だって君のことすべて肯定したい。
だが、していい時と悪い時があるんだ。
掴んでいた手を解くと、亜以子の両肩に両手を置く。
「亜以子、しっかり聞くんだ。
俺の気持ちはそりゃずっと一緒にいたいさ。覚えているだろ?煌太の存在を知ったときの俺は、君と結婚してて既に子供がいるって妄想したって。違ったか?」
「だったら…」
「一緒にいたくても一緒にいれないときもある。君と葉月ちゃんがそうだっただろ。
現実は大体苦しい選択の繰り返しだ。
俺も君も煌太を本当の子供のように愛しているし、俺の気持ちはこれから先もずっと一緒に暮らして幸せになりたい一点しかない。
君だって俺と同じ気持ちだと思うが、煌太の気持ちが優先すべきことであり、無下にはできない。」
「…煌太…まだ4歳だし…」
「それでも物心はついている。両親の死を受け止めている。無理な年齢じゃない。」
「……………」
「…怖いか。」
「……はい。…パパと同じ顔なら…向こうがいいに決まってる…」
「そうだとしても、君は一人じゃない。俺がいる。
子供はいつか親から巣立つときが来る。それが少し早いと思えばいい。
煌太がもし向こうを選んだとしても、君の事は俺が絶対に一人にさせない。」
…俺だって不安だ。
こちらは何かと分が悪いのは分かっている。
それでも、だ。
真実を話し、選択する権利は煌太にある。
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