機械vs機械

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そして、さらに気づいたことが二つある。 …ほら、また。 これは、自意識過剰ではないと思う。 俺は、彼女とよく目が合うのだ。 え、なに。 もしかして、俺のこと気になってる? いやいや、彼女から見れば、俺なんてオジサンの部類だろ。 そう考えて、自意識過剰の俺を消し去ろうと思ったこともあった。 …精密機械はそんなの簡単だ。 でも、払拭できないのは理由がある。 明らかに、俺に対する態度が違う。 コーヒー気分、お茶気分、甘いものが飲みたい気分など、俺は日や状況によって気分が変わる。 それを的確に言い当てる。 …そんなやつ、俺以外にもいるのに。 そいつらのは気づかない。 お茶菓子は、いつだって俺が好みのもの。 リップの色が変わったことに気づき「似合ってる色だ」と言えば、それ以外しなくなった。 プレゼンのアシスタントに指名すれば、頬を赤く染めたり。 …もう、確定じゃねぇかって思う。 「亜以子、課長のことよく見てるね。」 「ちがっ!見てません!目の保養ですよ!カッコいいじゃないですか!誰だって好きですよ!」 「好きなんだ?」 「……………」 否定なし。確定。 …廊下で女子社員の話を聞いてる俺って、ストーカー染みてるな。
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