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そしてもう一つ。
「亜以子ちゃん!今日こそは飲みに行こうよ!な?いいだろ?」
「すみません。今日もダメです。予定が入ってて。また今度!」
定時になれば颯爽と帰る理由。
これを知るものは、誰もいない。
部長も、課長である俺も。
彼女のプライベートは、闇に包まれているのだ。
仲のいい女子社員に聞いても
「んー、私も知らないんですよね。とにかく徹底して守秘義務使ってきます。」
「彼氏とか?」
「男の臭い、します?あの子から。」
「……しないな。」
「課長だって気づいてるくせに。」
「……まぁな。」
「まんざらでもない様子ですね。でも、他の男に告白されても振ってるみたいだし。
課長はどうなるんでしょうね?」
…モテるのか?…モテるよな。
あんなに魅力的に笑う子。
男が放っておくわけない。
両想いの自信はある。
ただ、見えないプライベート。
そこに踏み込む許可を得られるのか?俺は。
なーんて。
俺は、やってもいないことをネチネチ考えるような男じゃない。
踏み込んでやる。
それしか考えない。
そうとなれば、告白しよう。
そのタイミングの計算を始めた。
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