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そんな計算の中でも、目の端に映る堂本亜以子。
俺が意識しているからなのか、それとも堂本亜以子の方が意識しているからか。
どこにいてもセンサーが働いているように気づいてしまう。
そして、裏の顔を知ってしまってから詮索してしまう本当の君。
その笑顔の裏に隠れるもの。
彼女は一体何を背負って生きてきたから、こんな性格になっているんだろう?
人をよく誉め、励まし、気遣う。
君にとって処世術なんじゃないのか?
無理してるんじゃないのか?
あの涙は、きっと自分の感情を自分で整理するための涙だ。
弱さを見せない強さ。
それでも打たれ強いわけじゃない。
頑張って、必死で、一生懸命で。
(……ヤバいな……)
考えれば考えるほど、深みに嵌まっていく気がした。
つまり、どんどん好きになっていく。
「沖田課長。コーヒーいかがですか?」
「…もらおうかな。」
「はい!美味しいんですよ?このコーヒー。是非召し上がってください。」
「堂本、企画書は?」
「今日中に仕上げられます。終わったら確認をお願い致します。」
「ああ。」
こんな些細な会話でさえ、嬉しくなっている。
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