亜以子vs煌太

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亜以子との時間はこういう話をすることが多くなった。 亜以子自身、一生懸命に俺に"頼る"事を覚えている最中と言うか。 俺は、亜以子や煌太のことをよく見ること、話すことをよく聞く、それを心掛ける。 ちょっとした違いも見逃さないようにしていれば、例えば今のように、亜以子が自信がなくなっている等のことが分かるようになってきた。 「パパ。」 「ん?どうした。」 「ママお風呂?」 「ああ。」 「…あの、ヒショヒショ話があるんですけど。」 「なんだ。またママには内緒か。」 「うん。…あのね?うんとね? 僕、保育園でイジメです。」 ほら、話してきた。…語彙不足だけどな。 恐らく煌太にとって俺という存在は、話しやすい相手なんだろう。身近な"男"であり"大人"。 「本当のパパとママは死にました。でも、まーくんと亜以ちゃがパパとママになってくれました。…だから僕は嘘つきじゃないし!」 「そうだな。」 「動物園にも行ったもん!いろいろ買ってくれるもん!肩車もしてくれたもん!全部本当のことだもん!僕はカワイソウじゃないもん!」 「ああ。」 「…ふぇぇぇーー!」 「おいで煌太。」 俺に抱き付くのは大得意だ。 両腕も両足もガッチリ俺の身体に巻き付けるように。 今日も同じように抱きつくと、気持ちをぶつけるように泣いた。
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